RAINDROPMUSIC_M’s blog

RAINDROP MUSIC代表 28歳 /音楽スクールNEXT代表/舟津真翔/ASA /2年連続メジャーデビュー輩出/経営者/プロデューサー/作詞作曲/講演家/47都道府県全県制覇(1年で233公演)

世界を変えるのはヒーローとは限らない

 

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ある日の東京でのお話。

 

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僕はお腹が空いて
一軒の食堂に駆け込んだ。

見た目は至ってシンプルで
昔からあるような食堂。

入り口にポツンと
券売機が置いてあり
優柔不断な僕は、
後ろに並んでいる人の
目を気にしながら
生姜焼き定食と
レバニラ定食の2つを
人差し指と中指で同時に押し
その最後の選択を運に任せた。

 

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『いらっしゃい。』と
奥から出て来た女性が
おしぼりとお水をくれた。

『このお水の中に、
なんでレモンが
入っているんだろう?』

そんな事を考えているうちに
運に任せた
生姜焼き定食がやって来た。

店内はスプーンやら箸で
カチャカチャした音と、
小音で流れるAMラジオ、
厨房のフライパンで
何かを焼く音、
そして、
また1人、2人と帰って行き
また1人、2人と入ってくる
昔からあるスライド式の
ガラガラと鳴るドアの音で、
BGMが完成していた。

誰もが何も言わずに帰り
誰もが何も言わずに
店に入ってくる。

その奇妙な様子を見て
全ては入り口にある
あの券売機がこの状況を
作り出しているのに違いないと
僕は一人小さく頷いた。

そんな中で、1人の男子中学生が
勢い良くナントカ丼を食べていた。

僕は中学生の時に
こんな所へ1人で来れなかったな。

と関心していると

その男子中学生はパッと立ち上がり

『ごちそうさまでした‼︎
美味しかったです!』と
厨房の方に大きく叫び
笑顔で帰って行った。

先ほど、お水を出してくれた女性も

『ありがとう‼︎ また来てね!』と
彼を笑顔で見送ったのだった。

至って普通の状況なのだが
この一連の流れで
お店の雰囲気が
大きく変わったのだ。

次に立つ女性も
サラリーマンの男性も
次々にごちそうさまでした‼︎と
笑顔で帰って行くではないか。

先ほどのBGMに
新しい風が入ってきて
とても心地が良くなったのは
僕の気のせいなのだろうか。

このお店には
食器の返却口はなく
テーブルに残ったものは
お店の人が片付けてくれる
システムなのだが
自分の食器を厨房まで運び
『今日も美味しかったです!』
と言いに行く女性まで現れた。

『わざわざありがとう‼︎』と
またそこに笑顔が生まれた。

この一つの小さな世界を
変えたのは
四次元ポケットでも
スペシウム光線でもなく

男子中学生が言い放った、

『ごちそうさまでした‼︎
美味しかったです!』の

そのたった2言だけだったのだ。

いつだって、世界を変えられるのは
ヒーローだけだと思っていた。

けれど、その男子中学生の
愛溢れた一つの言動が

世界を変えるのはヒーローとは限らない

という事を証明してくれたのだった。

今ではあの入り口にある券売機も
少しだけ愛おしく見える。

『ごちそうさまでした‼︎
美味しかったです!』

そして僕も、新しい風になった。